女性のためのクリニックガイド – 未来の自分を考える女性のカラダ 〜乳がん編〜

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女性の部位別がん罹患率1位である「乳がん」。

乳がんにかかる女性は年々増加傾向にあり、

今では年間約9万人の女性が罹患するといわれています。

そんな乳がんとの向き合い方について、

乳腺専門医の吉田先生にお話しをお聞きしました。

企画・編集/仙台ぱど ルチカ編集部

吉田先生の写真1

お話をお伺いしたのはこの方

宮城県予防医学協会 健診センター

吉田 清香 先生

2000年山形大学医学部卒後、福島県立医大を中心に外科、乳腺外科として研鑽を積む。現在は宮城県予防医学協会健診センター非常勤医師。日本乳癌学会乳腺専門医、がん治療認定医、日本外科学会専門医。二児の母。

Q1
そもそも、乳がんとはどういうもの?
A1
乳がんとは乳腺にできる上皮性の悪性腫瘍です。

乳がんは、母乳を生産している小葉という組織から発生する「小葉がん」が12~13%、母乳の通り道である乳管という組織から発生する「乳管がん」が全体の80%を占めます。

乳がんの構造

がん細胞が、乳管もしくは小葉の中にとどまっている初期段階の乳がんを「非浸潤がん」と言い、この段階で発見治療ができれば、他の臓器に転移することはほとんどなく完治が期待できます。

Q2
乳がんはどんな症状が現われるの?
A2
自覚症状として最も多いのは「しこり」です。

がんができる場所によっては、自身でも気付きにくいこともあります。近年ではマンモグラフィ検診の普及によって、自覚症状がなくても発見されるケースが増えてきています。しこりの他には、皮膚のくぼみ、乳頭の陥没、乳頭から血液が出る血性乳頭分泌などがあります。月経周期に関係なく痛みが続く場合も注意が必要です。

Q3
どれぐらいの割合で罹る病気なの?
A3
現在では11人に1人が罹るといわれています。

生涯のうち乳がんになる女性の割合は増加の一途を辿っており、2000年では22人に1人の割合が、現在では11人に1人が罹るといわれています。(※1) 年齢別にみると、日本人の場合は40歳代と60歳代に罹患のピークがあります。30歳代の若い世代でも罹る人が増加しているため、ひとごとではなくなってきています。

女性の年齢階級別乳がん罹患率
女性の年齢階級別乳がん罹患率

定期的な乳がん検診と、セルフチェックで早期発見に努めましょう。国では2年に1回の定期健診を推奨しています。
(※1)…独立行政法人国立がん研究センター調べ

Q4
乳がんになりやすい条件はあるの?
A4
血縁者に近い人の罹患が多いほど、罹患リスクは高くなります。

近年では、遺伝的な要因で乳がん罹患リスクが高い方に対する医療体制も整いつつありますので、心当たりのある方、不安のある方は一度専門の医療機関に相談してみましょう。生活習慣の面からは、閉経後の肥満、運動習慣、飲酒、喫煙などが乳がんのリスクを高めるというデータがあります。他の疾患の予防という意味でも、普段これからの要因に気を付けて生活することが大切です。

Q5
セルフチェックって大事?
A5
自分の身体の変化に気付くためにも必要です。

自分の身体の“いつもと違う部分や違和感”に気が付くためには、今の身体の状態を知らないと変化を見逃してしまいます。若いうちから定期健診を受けるのと同時に、普段のセルフチェックで自分の身体を知っておくことで未来の自分に備えましょう。 特に、乳腺組織は女性ホルモンの影響を受けやすい臓器です。自身の乳腺が月経周期に合わせてどのように変化するかを知っておくことも大切です。

Q6
もし異変に気が付いたら?
A6
早期に必ず医療機関を受診しましょう。

異常や異変に気が付いたら医療機関を受診し、心配の種を取り除きましょう。また受診の際は①いつ異変に気が付いたのか②どんな異変があるのか③気が付いてから受診日の間に変化があったか④月経周期、を記録しているといいですね。乳房は月経周期によってハリがでるなどの変化が出る場合もあるので、合わせてひかえておくといいですね。

吉田先生の写真2

早期発見の第一歩 乳房の画像検査

マンモグラフィ

マンモグラフィ

圧迫板という透明な板で乳房を平らに引きのばし、圧迫してX線撮影をする乳房専用のレントゲン撮影。

  • 〈メリット〉
  • □2~4枚の写真で乳房全体を写すことができる
  • □しこりの前段階の「石灰化」と呼ばれる、乳がんのサインを映し出せる
  • 〈デメリット〉
  • □圧迫による痛みがある場合がある(個人差あり)
  • □乳腺量の多い場合は、正常乳腺と病変の鑑別が難しいことがある
  • □妊娠中は受けられない
  • □心臓ペースメーカー・V-Pシャント等前胸部に挿入物がある、豊胸歴がある場合受けられない場合がある
超音波検査

超音波検査

X線を使わず乳房の上から超音波を当て、その反射を映像化することで対象物の内部の状態を調査する画像検査法。

  • 〈メリット〉
  • □痛みがない
  • □小さなしこりを発見できる
  • □マンモグラフィで十分に判断できない、乳腺の多い人に向いている
  • □妊娠中でも検査可能
  • 〈デメリット〉
  • □小さな石灰化は検出が難しい
マンモグラフィと超音波検査にはそれぞれの得意・不得意分野があります。不安のある方は併用して受けてみましょう。

今日からはじめてみよう
セルフチェック

月に1回、月経開始から10~15日目以内の、乳房の張りがない状態でチェックしてみましょう。

「触って」check

乳腺を広げた状態で確認するために、立った状態や横になった状態でそれぞれで触ってみましょう。入浴時を活用し石鹸などをつけて触り、しこりや乳頭からの分泌物を調べましょう。横になる場合は、調べる側の背にタオルなどを敷いて行いましょう。

立った状態で
check

立った状態でcheck
触り方Point

3本の指を揃え、指の腹と肋骨で乳房をはさむようにし「の」の字を書くように動かします。乳房全体を調べるため、この「の」の字を繰り返します。

  • □乳房全体のしこりの有無
  • □脇の下のしこりの有無
  • □乳頭からの血性分泌物の有無

横になった状態で
check

横になった状態でcheck

「見て」check

鏡の前に立ち、両手を上げたり腰に当てたり、斜めから見るなどして両方の乳房を観察。

  • □左右の大きさ・形の変化の有無
  • □皮膚の色の変化・くぼみ・ただれ・へこみの有無
  • □乳頭からの血性分泌物の有無
見てcheck
宮城県予防医学協会 健診センター

取材/宮城県予防医学協会 健診センター
TEL:022-262-2621
(代表)
□住 仙台市青葉区上杉1-6-6 イースタンビル5F

婦人科検診・健康診断・がん検診・人間ドックなど、各専門医が対応。女性の専門技師も在籍し、女性と同じ立場で親身に対応してくれる。

乳房ドック

乳がん検診の後に、乳腺専門医による結果説明及びセルフチェックのレクチャーの実施・指導がセットになったプラン。全て女性スタッフが担当してくれる。

【実施日】毎週火曜日 【受付時間】14:00〜15:00 【料金】15,000円(税別)
【内容】マンモグラフィー(二方向)・視触診、乳腺超音波検査、結果説明・指導
※検査当日は制汗スプレーやボディクリームはご遠慮ください
【予約・申込】022-262-2621(代表) ※詳細は予約時に確認

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