【特集】今、振り返ろう 3.11を経てできること vol.3

その地に赴き空気を吸う、味わう。震災を契機にうまれたものを知る。
私たちができることを、やってみよう。

割烹 滝川

旧北上川のほど近くに1914年から店を構える割烹滝川。戦前、戦中、戦後と姿かたちを変えながら市民に長く愛される料理店を津波が襲った。「逃げた日和山から店を見ると、ひどい惨状でした。ですが、『流されただろう』と思って翌日行ってみたら、残っていたのです。その時『この場所でまた店をやりたい、やらなければ』と決心しました」(大将 阿部さん)。鮮魚店やホテルで営業を続け、同時に泥を掻き出し元の場所での再建を進めた。設備が整わずホームセンターで買った焼き台で鰻を焼いたこともあった。震災から2年後、元の場所で営業再開に至った。「再建にあたり1階は靴のまま入る仕様に変更し、店内には直近の避難場所を提示しています。もしまた起こっても、お客様はもちろん、私たち従業員も共に助かる、それをなによりの信条として営業しています」(阿部さん)。
再建し揺るぎない「礎」を携え、店の歴史は今日も脈々と続いていく。

海老、蟹、帆立をふんだんに使用した海鮮釜めし。口いっぱいに風味が広がり、海のものの美味しさを実感できる。約4膳分でたっぷり食べられるのも嬉しい(2,530円)。※昼膳/季節の前菜3点盛り、お吸い物付。

鶏の香ばしさを味わえるとり釜めしもおすすめ(1,650円)。※昼膳/季節の前菜3点盛り、お吸い物付。

テーブル席の他にカウンターもあるのでグループでもお一人でも。

石巻市中央1-13-13 
TEL.0225-22-1138
営/ランチ11:30~14:00(LO13:30)、
夜の部17:00~21:00(LO20:00)
休/月曜

アトリエ&喫茶 中町カフェー

亘理町の中心部に店を構える中町カフェー。コーヒーや茶菓子を楽しめるカフェの一面もありながら、店内には着物で仕立てた美しい袋が並ぶ。「『ふくろ』がなまって『FUGURO』と言います。亘理では贈り物をする際に、古い着物の残布で仕立てた袋に入れて渡す習慣がありました」(代表 引地さん)。この習慣が細々と続く中、震災が起こった。「身近なところで人の死を経験し、だからこそ『自分は死んでいない、生きている』という思いが生じました。FUGUROを作ることは文化の伝承であり、生きている私たちが生活し続けるための在り方の一つ。そして作り続けることは支援してくれた方への恩返しに繋がると思っています」(引地さん)。家族、友人、健康、仕事…。当たり前のことを幸せと思えるようになった、と話す引地さん。震災から9年目を迎える今、復興を終え亘理町の更なる活性化へ歩みを進めている。

店内にはFUGUROはもちろん、着物をリメイクさせた小物が並ぶ。

「ありがとう」の返礼の気持ちをFUGUROに込めて。一つひとつ手仕事で仕上げている(写真は小サイズ各3,080円)。

店内ではコーヒーや焼き菓子、和菓子も楽しめる。モダンな白の建物が目印。

亘理郡亘理町字中町22 
TEL.0223-35-7341
営/10:00~16:00
休/土・日曜、祝日、年末年始

南三陸ミシン工房

工業用・職業用のミシンを駆使しカラフルで丈夫な布製品を生み出している南三陸ミシン工房。元々縫製業が盛んな土地柄だったこともあり、震災当初は趣味や生きがいのためにミシンをやりたいという方が多かった。「ただ、年月が経つにつれ『被災者が作った』では売れなくなりました。お小遣い稼ぎから仕事へ。今は技能と責任をもって打ち込んでいます」(代表 熊谷さん)。
カーテンやベッドカバーに用いるインテリアファブリックを使った「世界のトートバッグ」や、工房の縫製メンバーがこだわりを持って仕上げた「大森さんのポーチ」など、多種多様な布製品を展開。「ミシンの縫製で仕事ができるということは収入と共に仲間も生まれ、世の中とも繋がれる。仕事をして、笑顔になって『生きていてよかった』と思える日々が続けばいいと思います」(熊谷さん)。

ウニイメージのペンケースや南三陸イメージのティッシュケース。色鮮やかでかわいいテキスタイルの製品はつい欲しくなる。

豊富なデザインが人気の世界のトートバッグ。A4サイズの書類もたっぷり入る。(マチ付、4,290円)

オリジナル製品のほとんどはメンバー各自が一貫縫製で仕上げている。

本吉郡南三陸町歌津字田表42-1 
TEL.0226-29-6528
http://www.mishinkoubou.org
※ネットショップは「通販 南三陸ミシン工房」で検索

KESEMO MARINUS(ケセモ マリナス)

東日本大震災で甚大な被害を受けた気仙沼。気仙沼水産資源活用研究会のブランドでもある「kesemo(ケセモ)」は震災が契機となり設立された。「元に戻すだけではなく新たなものを生む復興と考え、『気仙沼から、もっと』という意味を込めて『kesemo』に。そんなkesemoの化粧品ブランドがMARINUS(マリナス)です。海の恩恵を最大限に活かした商品を届けたい、という想いを込め海(=MARINE)を入れ込んだネーミングにしました」(代表取締役 斎藤さん)。商品の原料には気仙沼産フカヒレやハマナス、柚子が使用されている。「特にフカヒレに関しては、気仙沼ならではの海の恵み。最大限に活かしながら肌に優しく、安心安全な化粧品開発を心がけました」(斎藤さん)。優れた保湿力をもつ非加熱フカコラーゲンは、美肌作りの基本である保湿だけでなく、その持続も叶えてくれる。海の恵みを感じながらの丁寧なスキンケアをぜひ。

ライン使いはもちろん、自身の肌の状態や使用感の好みでチョイスしてみても。「就寝前よりも肌が潤っている」「明日の自信につながる」という声も。

気仙沼の海や自然からの恵みである美容資源を活用。

美容成分を抽出する、原料となるフカヒレ。

http://kesemo-marinus.com

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